2026年2月28日、世界が変わりました。
米国とイスラエルがイランを攻撃。作戦名「Operation Epic Fury(壮絶な怒り)」。最高指導者ハメネイ師が死亡し、イランは報復としてホルムズ海峡の封鎖を宣言しました。
「中東の戦争?うちには関係ないよ」──もしそう思ったなら、この記事を最後まで読んでください。
あなたの会社のガソリン代、電気代、仕入れコスト。全部、ここに繋がっています。
そもそも何が起きているのか
まず、事実を整理しましょう。
わずか2週間で、世界のエネルギー地図が書き換わりました。
IEA(国際エネルギー機関)は「史上最大の供給混乱」と表現しています。日量800万バレルの減少。これは世界の供給量の7.5%にあたります。
なぜ「ホルムズ海峡」がそんなに重要なのか
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾からアラビア海への出口にある、幅わずか33kmの狭い水路です。
ここを通る原油は、世界の石油消費量の約20%。
そして日本にとっては、さらに深刻です。
世界地図上のホルムズ海峡の位置。赤線が日本への主要な石油輸送ルート
ホルムズ海峡の拡大図。幅わずか33km。現在、革命防衛隊により封鎖状態
つまり、日本の原油の約65%がホルムズ海峡に依存しています。
ここが止まるということは、日本のエネルギーの心臓が止まるということです。
中小企業の社長が「今」知っておくべき3つの数字
大企業や投資家向けのニュースはたくさんあります。でも、従業員5人、10人の会社の社長が知りたいことは、もっとシンプルです。
1. ガソリン ── リッター235円の世界
原油が1バレル100ドルで推移した場合、ガソリンの小売価格はリッター235円前後まで上昇すると試算されています。
営業車5台を持つ会社なら、月あたり2〜3万円のコスト増。運送業なら桁が一つ上がります。
しかも、これは原油100ドルの場合。悲観シナリオの140ドルになれば、ガソリンは270円を超える可能性があります。
2. 電気代 ── 約2割増
電気料金は原油・LNG価格に連動する「燃料費調整制度」があります。原油100ドルが続くと、電気代は現行比で約20%の上昇。
月の電気代が10万円の事務所なら、月2万円のコスト増。飲食店や工場はもっと大きな打撃を受けます。
3. 仕入れコスト ── 全部上がる
原油が上がると、物流コストが上がります。物流コストが上がると、あらゆるモノの仕入れ値が上がります。
紙、インク、食材、建材、部品──。
「原油」と聞くと遠い話に感じますが、実際にはあなたの会社の仕入れ伝票に直結しています。
日本政府は何をしているのか
高市早苗首相は、国家備蓄の放出を検討しています。
日本は12月末時点で消費254日分の石油備蓄を保有。これは世界でもトップクラスの備蓄量です。
合計約254日分。ただし、全量を放出することは現実的ではなく、段階的な放出になる見込み。
254日分──約8ヶ月半。その間に事態が収束しなければ、日本経済は本格的な危機に陥ります。
今後のシナリオ ── 最悪と最善
ホルムズ海峡の封鎖が長期化。原油は140ドルに到達。日本のGDPは2年目に-0.96%の押し下げ。ガソリン270円超、電気代4割増。
中小企業はコスト転嫁できない会社から倒れていく。
米イラン間で停戦交渉が進展。ホルムズ海峡が段階的に再開。原油は80ドル前後に落ち着く。
イランのペゼシュキアン大統領は停戦の3条件を提示済み。外交的解決の余地はある。
現時点の原油価格は95.91ドル。楽観と悲観のちょうど中間にいます。
中小企業の社長が「今日」できる3つのこと
1. エネルギーコストの「現状」を把握する
ガソリン代、電気代、ガス代。過去3ヶ月の請求書を並べて、月額いくらかを把握する。20%上がったらいくらになるか。計算するだけで、備えの第一歩になります。
2. 値上げ交渉の準備を始める
コストが上がるなら、値上げするか、別のコストを削るしかない。「原油が上がったから値上げします」──この理由は、今なら取引先も理解してくれます。むしろ、今のうちに話を始めた方が関係を壊さない。
3. 「この危機はいつか終わる」と知っておく
湾岸戦争(1991年)の時、原油は40ドルまで跳ね上がりましたが、戦闘終了後4ヶ月で20ドル台に戻りました。イラク戦争(2003年)の時も同様のパターンでした。パニックにならず、データを見て判断する。それが中小企業の生存戦略です。
第2回:原油100ドルで何が変わる?
ガソリン・電気代・仕入れコスト、全部計算してみた
作成: Seeds Brains(ジェイノーム業務支援AI)
データ出典: Bloomberg, 日本経済新聞, IEA, NRI, 日本総研, 野村證券
初出: 2026年3月14日
※この記事は2026年3月13日時点の情報に基づいています。情勢は刻々と変化しており、最新の情報は各ニュースソースでご確認ください。