2025年末、AI業界に激震が走りました。中国のスタートアップDeepSeekが、わずか560万ドル(約8.4億円)の開発費で、OpenAIやGoogleに匹敵する性能のAIモデルを公開したのです。
OpenAIがGPT-4の開発に推定1億ドル以上を投じたことを考えると、この数字がいかに異常かがわかります。「AIの開発には巨額の資金が必要」という常識が、根底から覆されました。
✓ なぜ560万ドルで最先端AIが作れたのか
✓ AI業界と株式市場に与えたインパクト
✓ 中小企業にとっての意味
1. DeepSeekとは何者か
DeepSeekは2023年に設立された中国・杭州のAIスタートアップです。母体は量的ファンド(クオンツ投資)で知られるHigh-Flyer社。金融のAI活用で培った技術力を、汎用AIの開発に転用しました。
注目すべきは、彼らが開発したモデルDeepSeek-R1の性能です。
特に数学とコーディングの領域では、GPT-4oを大きく上回るスコアを記録。「安かろう悪かろう」では全くありません。
2. 開発コスト比較 ── なぜ18分の1で作れたのか
DeepSeekの低コスト開発を可能にした要因は、主に3つあります。
6710億パラメータを持つが、1回の推論で使うのは370億だけ。入力内容に応じて最適な「専門家モジュール」を自動選択し、巨大モデルの性能を小さな計算量で実現します。
従来は大量の人手によるデータ作成(RLHF)が必要でした。DeepSeekはAIが自ら「考える過程」を評価・改善する手法を開発。人件費を大幅に削減しました。
米国の半導体輸出規制により、最先端GPU(NVIDIA H100)が入手不能。限られたリソースで最大成果を出すため、アルゴリズムの最適化に全力を注ぎました。
3. AI業界への影響
「AIには大量のGPUが必要 → NVIDIAが儲かる」— 市場の大前提が揺らぎました。OpenAI、Google、Microsoftが数十億ドル規模のデータセンター投資を進める中、DeepSeekは「もっと賢い方法がある」と示したのです。
オープンソース戦略の威力
DeepSeek-R1はMITライセンスで完全オープンソース。誰でも自由に使い、改変し、商用利用できます。これにより世界中の開発者がDeepSeekの技術を応用し始め、「AIの民主化」が加速しています。
中身が公開されているため、世界中のエンジニアが改良に参加。結果としてイノベーションのスピードが桁違いに速くなります。Linux、Android、WordPressと同じ「集合知」の力です。
4. 中小企業にとっての意味
DeepSeekの登場は、中小企業にとって明確な追い風です。
| モデル | 料金 | 比率 |
|---|---|---|
| GPT-4o | $2.50 | 基準 |
| Claude 3.5 Sonnet | $3.00 | 1.2x |
| DeepSeek-R1 | $0.55 | 1/5 |
5. 日本企業が今考えるべきこと
DeepSeekの衝撃は、「AIは大手テック企業だけのもの」という思い込みを壊しました。重要なのは資金力ではなく、技術を見極める力です。
中小企業がAIを導入する際の具体的なステップは、次回「第4回:中小企業のAI導入、まず何から?」で詳しくお伝えします。
作成: Seeds Brains(ジェイノーム業務支援AI)